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{{Otheruseslist|旅客用鉄道車両|乗合自動車|バス (交通機関)|営業用[[乗用車]]|タクシー|同じく営業用乗用車|ハイヤー}}
[[ファイル:JRE233-2000-testrun-e.jpg|thumb|250px|旅客車の例・側面にある扉から旅客が乗降する]]
'''旅客車'''(りょかくしゃ)とは、[[旅客輸送|旅客の輸送]](客扱い)を目的とする車両のことである。
[[道路交通]]においても旅客車は存在するが([[バス (交通機関)|バス]]、[[タクシー]]、[[ハイヤー]]を参照)、当項目では[[鉄道]]における旅客車を主題として解説している。
原則として[[運賃]]の発生する[[営業]][[運送|運輸]]が基本だが、一部には[[鉄道事業者]]の[[訓練]]等に使われる[[事業用車両]]、[[天皇]]などの[[皇族]]が利用する[[皇室用客車|皇族用車両]]なども含まれる。
旅客車には以下のような種類がある。
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=== 座席車 ===
{{main|座席車}}
[[座席車]]は最も基本的な旅客車で、車内に座席を備えているものである。乗客に着席しての旅行を提供するが、[[通勤形
国や鉄道事業者にもよるが、[[一等車]]、[[二等車]]のように車内の設備によって等級が付けられていることがある。等級の段階数もまた国と鉄道事業者によって様々である。等級に特別な名前が付けられていることもある。等級が上のものから例として示すと、日本の[[JR]]においては、[[グ
[[ヨーロッパ]]では、一等車が地方の[[ローカル線|閑散路線]]や、時には都市の通勤路線にまで連結されていることがある。通勤路線の一等車は二等車と設備的に差がないことがあるが、それでも一等車が設定され利用者があるのは、ヨーロッパの[[階級社会]]の伝統に根ざしているとされる<ref>『徹底比較! 世界と日本の鉄道なるほど事情』 pp.129 - 130</ref>。運賃制度上、基本運賃に一等車料金を足すのではなく、二等運賃と一等運賃が別立てになっている場合には、一等の運賃を収受したからには一等車を運行しなければならないという理由もある。さらに、上位の等級に乗車するような階級の人間の居住地・勤務地や官公庁の所在地などを考慮して連結されることもある<ref>岩成 政和「イネロネに憧れて」『[[鉄道ピクトリアル]]』No.811(2008年11月)pp.10 - 17 [[電気車研究会]]</ref>。
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乗降用の[[扉|ドア]]や[[列車便所|トイレ]]、[[洗面所]]などが[[デッキ]]にあり、壁と扉で客室と区切られている形式と、区切られていない形式がある。前者は[[特別急行列車|特急]]、[[急行列車|急行]]用などの優等列車を中心に用いられる。
また客室内において、座席同士が特に区切られずに並べられている形式を[[開放座席車]](オープン
オープンサルーンでは、さらに座席の配置の仕方に様々な形態がある。詳細は[[鉄道車両の座席]]を参照。
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[[寝台車 (鉄道)|寝台車]]は、客室内に[[ベッド|寝台(ベッド)]]を設置してあり、乗客が寝たまま[[旅行]]できるようにされている車両である。主に[[夜行列車|夜行]]や、行程が数日にわたる長距離列車に連結されている。
座席車と同様に、寝台車も国や鉄道事業者により等級で分かれている。例えば等級が上のものから、日本のJRでは[[A寝台#個室A寝台|ロイヤル]]又は[[A寝台#個室A寝台|スイート]]、[[A寝台|A寝台車]]、[[B寝台|B寝台車]]、中国の鉄道では軟臥車、硬臥車、[[ヨーロッパ]]の[[シティナイトライン]]ではデラックス、コンフォート、エコノミー、クシェット、スペインの[[タルゴ]]ではグランクラッセ、プレファレンテ、ツーリストである。
寝台車においても、開放形式と個室形式がある。開放形式では、寝台は[[カーテン]]により外部の空間と仕切られるだけであるが、個室形式においては、部屋を施錠することができる部屋になっている。ただし中国の硬臥車ではカーテンも付いていないものがある。[[アメリカ合衆国|アメリカ]]においては開放形式が、ヨーロッパにおいては個室形式が主流であったが、後にアメリカも個室形式に移行している。
開放形式の寝台の配置パターンには大きく分けると2つあり、1つは車両の中央に前後方向の[[通路]]が通り、その両側に線路と[[平行]]に寝台が並んでいるもの、もう1つは車両の片側に通路が通り、線路と直角に寝台が並んでいるものである。なお、スペインのタルゴ客車には斜めの寝台も存在している。前者のうち、昼間には寝台を畳んで[[鉄道車両の座席#クロスシート(横座席)|ボックスシート]]とするものを、この形式の寝台車を多数所有していたアメリカの会社の名前から[[プルマン (企業)|プルマン]]式と呼ぶ。一方、昼間でも寝台をそのままに[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]のように座る形式を、アメリカでの寝台車の販売呼称からツーリスト式と呼ぶ。収容できる[[定員]]数の確保のため、特に等級の高い寝台車でない限り、二段寝台や三段寝台になっているのが普通である。
個室形式の寝台では、等級にもよるが、個室内に[[シャワー]]室、トイレ、洗面台などが備わっていることがある。シャワー室については、開放形式の寝台に乗車している旅客も使用することができる共用のものが設置されている列車もある。
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=== 郵便車・荷物車 ===
{{main|郵便車|荷物車}}
[[郵便車]]は、郵便物を積載する車両である。単に郵便物を載せて輸送するだけではなく、車内に郵便物を区分するための棚が設けられており、郵便局員が乗務して走行中に郵便物の仕分けができるようになっているものが多い。イギリスでは、通過駅を走行中に、つまり[[停車 (鉄道)|停車]]することなく郵便物を積み込み、積み降ろす特殊な装備を持った郵便車をかつて走らせていた。[[フランス]]の[[TGV]]では、1
[[荷物車]]は、旅客の手荷物(手回り品)を積載する車両である。航空機における旅客荷物の預かりサービスのように、鉄道側が旅客の荷物を預かって到着地まで輸送するサービスを行うというのがもともとの目的である。[[宅配便]]のように、小包を特定の駅まで送る鉄道小荷物輸送([[チッキ]])の目的でも用いられている。旅客の荷物を預かるサービスは一部の豪華列車を除けば衰退している。鉄道小荷物輸送も多くの国で衰退しているが、スイスのように今でもごく普通に用いられている国もある。
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[[ロビーカー]]、あるいはラウンジカーと呼ばれている車両も展望車に類似したものであるが、特に展望を強調していない車両である。誰でも利用できることが前提であるので、この車両の座席に対する乗車券の発売は行われず、列車の定員にも含まれない。豪華な車両には[[ピアノ]]など[[楽器]]が積まれていることもある。
[[電源車]]は、[[エア・コンディショナー|空調]]、[[照明]]、[[調理]]など、車内で消費する[[電力]]を供給するための電源装置、[[発電機|発電装置]]が搭載された車両である。[[架線]]から取り入れた電力を[[電動発電機]]や[[インバータ]]で変換して車内に供給する場合もあれば、[[ディーゼルエンジン|ディーゼル]]発電機で発電する場合もある。後者は非[[鉄道の電化|電化]]区間へも直通することができる。大容量の発電セット([[原動機]]+発電機)を電源車に搭載する集中電源方式と、中容量の発電セットを数両に一台の割合で搭載する分散電源方式とがある。また、[[交流電化]]区間では、[[電気機関車]]の[[変圧器]]から[[冷房|冷]][[暖房]]用電力の供給を受けるものもある。<!--他の形式の車両の一部に電源装置を組み込んでいることもある。←分かりづらいので、どなたか説明をお願いします。-->
=== 合造車 ===
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== 旅客車の用途分類 ==
旅客車は使用される列車の性格によって分類される。旅客車の用途分類は事業者ごとに異なる。
===
[[日本国有鉄道]](国鉄)では[[新性能電車]]・液体式気動車・新系列客車が実用化した昭和30年代以降、「○○形」と列車用途により明確に規程され、[[JR]]発足後も基本的にこの概念を受け継いでいる。
なお、国鉄による分類と定義は次の通りである<ref name=HANDBOOK>[[ネコ・パブリッシング]]『JR全車輌ハンドブック2009』 p.15</ref>。
;特急形
:原則として[[編成 (鉄道)|固定編成]]で使用するもので空気調和装置を備え、高速運転に適した性能を有する車両形式のもの
;急行形
:客室が出入口と仕切られ、横型の座席(クロスシート)を備え、長距離の運用に適した性能を有する車両形式のもの
:[[旧型客車]]もこの概念に近いが、明確に分類されるものではない<ref name="RF413">交友社『鉄道ファン』No.413 p.50</ref>。
;近郊形
:客室に出入口を有し、横型(ロングシート)及び縦型腰掛(クロスシート)を備え、都市近郊の運用に適した性能を有する車両形式のもの
;通勤形
:客室に出入口を有し、縦型座席(ロングシート)を備え、通勤輸送に適した性能を有する車両形式のもの
;一般形
:客室に出入口を有し、横型(ロングシート)及び縦型腰掛(クロスシート)を備え、通勤輸送に適した性能を有する車両形式のもの
:気動車では通勤輸送と中距離運用の兼ね合いと汎用性から、通勤形、特急形、急行形以外の気動車を指す用法としてこの概念が慣例的に使われた<ref>[https://news.mynavi.jp/article/trivia-268/ 鉄道トリビア(268) 「近郊形電車」と「一般形電車」、何が違う?] - マイナビニュース</ref>。
:電車では国鉄時代は通勤形と近郊形に二分していたため、明確な意味で一般形の概念は使われなかったが、JR発足後はこの概念を採用した電車が登場している。[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)ではE231系で初めて通勤形と近郊形の形式上の区別を廃止し<ref>{{PDFlink|[http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_8/Tech-no.8-11-17.pdf JR東日本の通勤電車の開発経緯]}} - 東日本旅客鉄道</ref>、この概念を採用している{{refnest|group="注"|背景には首都圏という混雑路線を抱える以上、国鉄末期以降近郊形でもロングシート化され、E217系では編成の過半数を4ドアロングシート車で占めながら編成の一部にセミクロスシート車とグリーン車が連結されているために近郊形に分類され<ref>[http://www.jreast.co.jp/train/local/E217.html JR東日本:車両図鑑>在来線 E217系]</ref>、一方でE501系は編成全体がロングシートであるために通勤形に分類されながら常磐線中電に導入され<ref>[http://www.jreast.co.jp/train/local/E501.html JR東日本:車両図鑑>在来線 E501系]</ref>、地方でも[[JR東日本107系電車|107系]]<ref>[http://www.jreast.co.jp/train/local/107.html JR東日本:車両図鑑>在来線 107系]</ref>・[[JR東日本701系電車|701系]]<ref>[http://www.jreast.co.jp/train/local/701.html JR東日本:車両図鑑>在来線 701系]</ref>・[[JR東日本E127系電車|E127系]]といった3ドアロングシートが導入されたが、701系とE127系については後にセミクロスシート車も製造されながらも通勤形に分類され<ref>[http://www.jreast.co.jp/train/local/E127.html JR東日本:車両図鑑>在来線 E127系]</ref>、701系に至っては片道200km/hを超える運用に就いたこともあった<ref>電気車研究会『鉄道ピクトリアル』No.844 p.49</ref>。詳細は「[[一般形車両 (鉄道)#一般形電車の登場とその後]]」を参照。}}。一方、他のJR各社は線区や列車の実情に合わせて通勤形と近郊形の区分を明確にしているが、例外的に[[JR西日本125系電車]]は'''ローカル線用の標準タイプ'''として一般形に区分され<ref>[http://pamph.jr-odekake.net/view_pamph20.php?ci=jrwest&pi=jrdata2013 データで見るJR西日本] p.119</ref>、置き換え対象であった一般形気動車と同種の用法で使われている。このため、電車では大都市圏向けとローカル線向けに二分され、輸送量の差が大きく表れている。
:客車では通勤輸送を主目的とした[[国鉄50系客車|50系]]とその他の列車で使用する旧型客車があるが、50系は地方での需要を反映してセミクロスシートとしたため、「'''通勤形でも近郊形でもない'''」として一般形に分類されている<ref>日本交通公社『国鉄車両一覧』p.202</ref>。なお、旧型客車(10系以前の客車)のことを国鉄の現場では便宜的に一般形客車・在来形客車と呼称していたが、明確にこの概念を採用したものではないため、正式に分類されるものではない{{refnest|group="注"|10系以前の客車はその大部分がデッキ付きのクロスシートで製造され、程度の良い車両は優等列車への使用が優先され、1960年代以降は陳腐化に対処するため、近代化改造及び体質改善工事を施工した車両(1964年以降に施工された車両は[[青15号]]に塗装された)が原則として使用された<ref>イカロス出版『J-train』vol.25 p. 27</ref>。後継車両への増備や置き換えにつれて捻出された車両は普通列車にも使用する施策がとられていた(同様の施策は私鉄では[[名古屋鉄道]]や京王帝都電鉄〔現:京王電鉄〕の電車でも行われていた)。[[岡田誠一 (鉄道研究家)|岡田誠一]]は旧型客車には正式な意味で急行形<ref name="RF413" />、一般形に分類されるものではないことを記述している<ref>ネコ・パブリッシング『Rail Magazine』No.336 p.9</ref><ref>JTBパブリッシング 岡田誠一『国鉄鋼製客車Ⅰ』 p.239</ref>。}}。
<gallery>
ファイル:Raicyo.jpg|特急形<br/>485系
ファイル:JNR 475 tateyama osaka.jpg|急行形<br/>475系
ファイル:JNR 115-1000 shonan-calor Taka.JPG|近郊形<br/>115系
ファイル:JNR 205-0 series running JR East Saikyo LIne 17F.jpg|通勤形<br/>205系
ファイル:JRH-Kiha40-777.jpg|一般形<br/>キハ40系
</gallery>
=== その他の鉄道事業者 ===
[[File:Tobu Fan Festa 2011.jpg|thumb|200px|列車ごとに専用の車両を保有する東武鉄道の車両<br/>左から1800系、8000系、100系、200系、50050系<br/>(東武ファンフェスタにて撮影)]]
その他の鉄道事業者では用途分類が事業者ごとに異なり、国鉄・JRのように事業者はもとより、[[国土交通省]]や[[日本民営鉄道協会]]でも明確に規程していない。日本の私鉄では特定の列車(特に特急・急行列車といった優等列車)への使用を目的とした専用車両とその他の列車に使用する一般車両に二分される。[[東武鉄道]]や[[近畿日本鉄道]]のように列車・種別ごとに専用の車両が使用され、運用上の区別も明確にしている事業者もある一方で[[京王電鉄]]や[[相模鉄道]]のように種別ごとに使用形式を限定していない事業者もある。
{{-}}
=== 車種の種類と特徴 ===
旅客車の車種は大雑把に分類すれば優等列車用、普通列車用、一般用、団体用に分類されるが、優等列車用で種別の実情に合わせて特急用、急行用の車種があり、普通列車用では列車や線区の実情に合わせて近郊用、通勤用の車種がある。この他に特定の目的に供されない一般用の車種がある。
==== 優等列車(特急・急行、長距離)用旅客車 ====
{{main|特急形車両|急行形車両}}
{{double image|right|JRW series683-2000 ordinarycar-inside-1.JPG|200|JNR_Suhafu12_Inside.JPG|200|優等列車(特急)用旅客車の一例、[[西日本旅客鉄道|JR西日本]][[JR西日本683系電車|683系]]の普通車車内|優等列車(急行)用旅客車の一例、日本国有鉄道12系の車内}}
優等列車(特急・急行)用旅客車は、長距離を運行し主要駅のみに停車するような、[[特別急行列車|特急]]や[[急行列車|急行]]列車に用いるための旅客車である。日本国有鉄道(国鉄)では特急
優等列車(特急・急行)用旅客車では、長時間を車内で過ごす旅客のために内装の快適さに意が用いられており、また鉄道事業者の[[看板]]ともなる列車であるため外観の意匠にも配慮がなされているのが通常である。
通常、[[鉄道車両の座席#固定式クロスシート|固定式クロスシート]]や[[鉄道車両の座席#回転式クロスシート(回転腰掛)|回転式クロスシート]]など、進行方向またはその逆方向を向いて座ることのできる座席が用いられる。背もたれを倒すことのできる[[鉄道車両の座席#リクライニングシート(自在腰掛)|リクライニングシート]]も新しい車両を中心に多く見られる。なお、立席での乗車は通常想定されない。[[コンパートメント席|個室]]を設けていることもある。
日本や[[北アメリカ]]、[[アジア]]では、座席を回転させることで常に列車の進行方向を向いて座ることのできる回転リクライニングシートが広く普及している。これに対してヨーロッパでは、進行方向を向くことにそれほど拘りがなく、常に一方向を向いている座席が採用されている国が多い。これは座席を回転させるために座席そのものの座り心地を犠牲にすることを嫌ったからではないかと分析されている<ref>『徹底比較! 世界と日本の鉄道なるほど事情』 pp.112 - 115</ref>。しかしそのヨーロッパでも高速化や航空機との競争により乗車時間が短縮されてくると共に、回転式の座席が増えつつある。座席の方向が固定された車両を含む列車の[[終着駅]]での折り返しには、かつては[[デルタ線]]を利用して列車ごと方向転換する方法も見られたが、手間が掛かることもあり廃れている。
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夜行で運転される旅客列車も多くは特急・急行用旅客車を用いており、この場合寝台車も連結されることがある。
{{clear}}
====
===== 近郊(中距離)用旅客車 =====
{{main|近郊形車両}}
[[File:313-3000 interior Kajikazawaguchi 20070127 (1).JPG|thumb|right|200px|近郊用旅客車の一例、JR東海[[JR東海313系電車|313系3000番台]]の車内]]
近郊用旅客車は、優等列車ではないが大都市の郊外や都市間、地方都市圏などで運転されるような列車に用いるための旅客車である。特急・急行用旅客車に比べると想定される乗客の車内滞在時間は短く、それに合わせて車内設備も簡素なものとなる。
座席は固定式クロスシートや[[鉄道車両の座席#セミクロスシート|セミクロスシート]]、[[鉄道車両の座席#転換式クロスシート(転換腰掛)|転換式クロスシート]]などが多く見られる。立席乗車に備えて[[つり革]]を備えていることもある。トイレを備えている車両もあるが、省略されていることもある{{refnest|group="注"|[[国鉄121系電車]]、[[JR四国7000系電車]]など。}}。単に乗車して移動する以上の特別なサービスが用意されていることは少ない。特急や急行に比べると旅客の乗降が頻繁であり、1両の片側あたりのドアの数は2箇所から4箇所程度となり、その幅も特急、急行用旅客車に比べて広くなる。空調設備に関しては、通勤用の旅客車と比べても冷房の導入が遅れていたが、近年の車両では装備されている。日本では国鉄・JR独自の概念とされ、私鉄にはこの概念はないが、[[東武6050系電車]]のようなセミクロスシート車両はこれに近似する<ref>鉄道ジャーナル社『[[鉄道ジャーナル]]』No.399 p.50</ref>。
都市部で運転される通勤、通学輸送を想定した列車でも、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]やヨーロッパのように想定される乗客数が少ない場合には、この形式の車両が用いられることがある。
{{clear}}
===== 通勤(近距離)用旅客車 =====
{{main|通勤形
[[ファイル:JRW321_renewal_inside_of_train.jpg|thumb|right|200px|通勤用旅客車の一例、JR西日本321系の車内]]
通勤用旅客車は、主に[[都市]]部、とりわけ[[大都市圏]]内で運転される列車に用いるための旅客車である。日常の[[通勤]]、[[通学]]の足として用いられる車両である。
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座席は大半が進行方向に対して横方向を向いた[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]で、また着席[[定員]]より立席定員の方が多く想定されている。運転時間が短いことと、収容力確保のため、通常トイレの設置は省略される。停車駅が頻繁で乗降する旅客も多数であるため、1両の片側あたりのドアの数は4箇所から6箇所とかなり多くなり、幅も広いものが用いられる。近郊用旅客車に比べると[[ラッシュ時|ラッシュアワー]]の車内環境保全のため、早くから冷房の設置が行われていた。ただし地下鉄用の車両については、熱の排出先の問題で冷房化が遅れていた。
{{clear}}
==== 一般用旅客車 ====
{{main|一般形車両 (鉄道)}}
{{double image|right|JR-E231-inside-2.jpg|200|JRE_DC100-204_inside.jpg|200|一般用旅客車(都市圏向け)の一例、JR東日本E231系の車内|一般用旅客車(ローカル線向け)の一例、JR東日本キハ100系の車内}}
一般用旅客車は、特定の目的に供されない車両である。基本的には[[普通列車]]に用いるための車両であり、広い意味では前述の近郊用旅客車と通勤用旅客車も含まれる。近郊輸送と通勤輸送を両立させた旅客車であるが、中には優等列車向けの機能を兼ねる車両も一部存在する。都市圏で使用されるものとローカル線で使用されるものがあるが、構造は大きく異なる。
都市圏で使用されるものでは、旅客の乗降が頻繁であり、1両の片側あたりのドアの数は4箇所程度となる。日本では[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の[[JR東日本E231系電車|E231系]]以後の車両のように4ドア車が主流であるが、欧米では2階建車両が主流であり、近郊輸送と通勤輸送を両立させている。
ローカル線で使用されるものは旅客の乗降が少なく、1両の片側あたりのドアの数は2箇所から3箇所程度となる。閑散時でも1両編成で運転できるように両運転台とした車両が多く、中には[[ワンマン運転]]に対応した車両もある。
私鉄では優等列車用車両の対比としてこの表現が使われることもあるが、事業者ごとにまちまちであり、明確でないため、単純に特定の目的に供されない車両として解釈されている。
{{clear}}
==== 団体用旅客車 ====
{{see also|ジョイフルトレイン}}
[[ファイル:Seat of Yamanami.jpg|thumb|right|200px|団体用旅客車の一例、お座敷列車の車内]]
団体用旅客車は、臨時に運転される[[団体専用列車]]向けの旅客車である。[[ジョイフルトレイン]]などとも呼ばれる。日本では現在、この概念が存在するのは[[近畿日本鉄道]](近鉄)のみであり、国鉄・JRにおいては明確にこの分類が存在しない。他の目的の旅客車がこの目的に転用されることもあるが、専用の車両を備えているところもある。専用の車両が用いられている場合、列車の旅に特別な価値を持たせるために、お座敷列車となっていたり展望席が設けられていたりする。その他の車内の設備は特急、急行用旅客車に準じている。また、以前は[[修学旅行]]団体向けに、急行用旅客車をベースに座席定員を増やすなどのアレンジを加えた専用車両もあったが、新幹線の開業や時代の変化に伴う修学旅行の多様化により、現在のJRの車両においては存在しないため、特急・急行用旅客車で代用している。
特殊な目的の団体用旅客車として、各国の[[王族]]や[[要人]]などが利用するための車両がある。ロイヤルトレインなどと称され、日本では[[お召し列車]]がよく知られている。専用目的に設計された車両を用いることもあれば、一般用の車両を必要に応じて改装して用いることもある。内装に通常よりも注意が払われることに加え、[[警備]]上の理由により窓に[[防弾]]ガラスを使用したり、警備担当者の乗務スペースと[[無線電話]]などの連絡手段が用意されたりする。また随行員や[[報道]]関係者の席が用意されることもある。
{{clear}}
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
== 参考文献 ==
134 ⟶ 189行目:
|id=ISBN 4-381-10399-8
}}
* {{
|author=伊原 一夫
|year=1987
143 ⟶ 198行目:
|id=ISBN 4-906189-64-4
}}
* {{Cite book|和書
|author=梅原 淳|authorlink=梅原淳
|year=2001
|title=鉄道・車両の謎と不思議
|publisher=東京堂出版
|edition=初版
|language=日本語
|id=ISBN 978-4-490-20444-5
}}
* {{Cite book|和書
|author=井上 孝司
|year=2010
|title=車両研究で広がる鉄の世界
|publisher=秀和システム
|edition=初版
|language=日本語
|id=ISBN 978-4-7980-2611-4
}}
{{DEFAULTSORT:りよかくしや}}
[[Category:
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