富津火力発電所
富津火力発電所(ふっつかりょくはつでんしょ)は千葉県富津市新富25に所在するJERAの天然ガス火力発電所。
富津火力発電所 | |
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富津火力発電所(2007年3月) | |
正式名称 | 株式会社JERA富津火力発電所 |
国 | 日本 |
所在地 | 千葉県富津市新富25 |
座標 | 北緯35度20分35秒 東経139度50分2秒 / 北緯35.34306度 東経139.83389度座標: 北緯35度20分35秒 東経139度50分2秒 / 北緯35.34306度 東経139.83389度 |
現況 | 運転中 |
運転開始 |
1号系列:1986年11月 2号系列:1988年11月 3号系列:2003年11月13日 4号系列:2010年10月5日 |
事業主体 | JERA |
発電所 | |
主要動力源 | LNG |
発電機数 | 21基 |
熱効率 |
1-1,3,5,6号:51.4%(LHV) 1-2,4号:50.5%(LHV) 1-7号:47.2%(LHV) 2-1,2,4,5,7号:54.3%(LHV) 2-3,6号:54.4%(LHV) 3号系列:55.3%(LHV) 4号系列:58.6%(LHV) |
コンバインド サイクル発電 |
1号系列:CC方式採用 2号系列:ACC方式採用 3号系列:ACC方式採用 4号系列:MACC方式採用 |
発電量 | |
定格出力 |
総出力:516万kW 1号系列:100万kW 2号系列:112万kW 3号系列:152万kW 4号系列:152万kW |
ウェブサイト JERA 富津火力発電所 | |
2019年8月9日現在 |
概要
編集東京電力が建設し、1985年12月に1号系列1軸が運転を開始、4号系列までが建設された。火力発電所としては同社鹿島火力発電所、東北電力東新潟火力発電所(緊急設置電源含む)に次いで国内第三位の総出力であり、世界でも最大級の火力発電所である。
本発電所は、東京電力が初めて熱効率の高い1,100℃級コンバインドサイクル発電方式を導入した発電所で、その後1,300℃級改良型コンバインドサイクル発電方式、更には1,500℃級コンバインドサイクル発電方式を導入するなど、東京電力火力発電所の最先端を担っている。特に4号系列は、東芝とGEの共同製品であるH System発電方式を国内で初めて採用し、熱効率59%を実現するなど高い性能を達成している。
2016年からは、1号系列のうち6軸(第7軸は対象外)および2号系列全7軸の計13軸について発電効率の向上を目的に、ガスタービン等の取替工事を順次実施しており、これにより発電効率が1号系列では3.3%もしくは4.2%、2号系列では1,300℃級ガスタービンに更新されることもあり7.1%向上する。2号系列の出力は2017年8月に112万kWに増強した。その後、2019年8月に本工事は完了した[1]。
2016年4月に東京電力から100%子会社の東京電力フュエル&パワーに移管、2019年4月にはさらにJERAに移管された。
発電設備
編集- 総出力:516万kW(2019年8月9日現在)[2]
- 敷地面積:約116万m2
- 1号系列
- 発電方式:
- 1-1~6号:1,150℃級コンバインドサイクル発電(Combined Cycle)方式
- 1-7号:1,100℃級コンバインドサイクル発電(CC)方式
- 定格出力:100万kW(16.7万kW × 6軸、16.5万kW × 1軸)*
- ガスタービン × 7軸
- 蒸気タービン × 7軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:
- 1-1、3、5、6号:51.4%(低位発熱量基準)
- 1-2、4号:50.5%(低位発熱量基準)
- 1-7号:47.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始
- 1-1号:1985年12月
- 1-2号:1986年2月
- 1-3号:1986年5月
- 1-4号:1986年5月
- 1-5号:1986年7月
- 1-6号:1986年9月
- 1-7号:1986年11月
- ガスタービン等取替工事(1-7号は対象外)
- 1-1号:2017年6月
- 1-2号:2017年12月
- 1-3号:2018年7月
- 1-4号:2017年9月
- 1-5号:2019年7月
- 1-6号:2019年3月
- * 全軸を合計して最大100万kWとなるよう運転される。
- 2号系列
- 発電方式:1,300℃級改良型コンバインドサイクル発電(Advanced Combined Cycle)方式
- 定格出力:112万kW(16.0万kW × 5軸、16.2万kW × 2軸)*
- ガスタービン × 7軸
- 蒸気タービン × 7軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率
- 2-1、2、4、5、7号:54.3%(低位発熱量基準)
- 2-3、6号:54.4%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始
- 2-1号:1987年12月
- 2-2号:1988年2月
- 2-3号:1988年4月
- 2-4号:1988年5月
- 2-5号:1988年9月
- 2-6号:1988年9月
- 2-7号:1988年11月
- ガスタービン等取替工事
- 2-1号:2016年7月
- 2-2号:2018年3月
- 2-3号:2019年8月
- 2-4号:2018年8月
- 2-5号:2017年3月
- 2-6号:2019年3月
- 2-7号:2017年8月
- * 全軸を合計して最大112万kWとなるよう運転される。
- 3号系列
- 発電方式:1,300℃級改良型コンバインドサイクル発電(ACC)方式
- 定格出力:152万kW(38万kW × 4軸)
- ガスタービン:24.9万kW × 4軸
- 蒸気タービン:13.1万kW × 4軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:55.3%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始
- 3-1号:2001年7月9日
- 3-2号:2001年12月4日
- 3-3号:2003年7月17日
- 3-4号:2003年11月13日[3]
- 4号系列
- 発電方式:1,500℃級コンバインドサイクル発電(More Advanced Combined Cycle)方式
- 定格出力:152万kW(50.7万kW × 3軸)*
- ガスタービン:33.6万kW × 3軸
- 蒸気タービン:17.1万kW × 3軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:58.6%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始
- 4-1号:2008年7月29日
- 4-2号:2009年11月10日
- 4-3号:2010年10月5日[4]
- * 全軸を合計して最大152万kWとなるよう運転される。
付随施設
編集発電所内にはLNG基地も建設されており、袖ケ浦火力発電所及び姉崎火力発電所などへ供給している。1985年9月にマレーシアからの第1船が入船して以来、マレーシアをはじめとする世界14か国から年間約1300万tのLNGを受入れており、その累計受入量は2009年4月に1億tに到達した。この累計受入量は日本全体のLNG累計受入量の約8%に相当する。
発電所以外にもLNGを供給しており、2001年1月より大多喜ガス株式会社、2006年4月より京葉ガス、2006年12月より関東天然瓦斯開発へガス卸供給を開始し、2007年9月にはLNGローリー販売も開始している。
2009年3月には富津火力発電所と東扇島火力発電所のLNG基地間をつなぐ東西連係ガス導管の運用を開始[5]。これにより、千葉県側の5つの火力発電所(千葉・五井・姉崎・袖ケ浦・富津)と神奈川県側の3つの火力発電所(東扇島・川崎・横浜)を結ぶパイプラインが構築され、LNG供給の安定性向上や発電所とLNG基地の弾力的かつ効率的な運用が実現した。
隣接地には東京電力が運営する「TEPCO新エネルギーパーク」があったが、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響により、閉園した。
接続基幹系統
編集- 富津火力線 - 50万V送電線。内陸部で北上し新袖ヶ浦線に接続。
4号系列第1軸火災事故
編集2015年8月16日18時頃、自動停止するとともに建屋3階ガスタービンエンクロージャー内にて火災が発生。富津消防署による消火作業が行われた[6]。
点検の結果、ガスタービンの点検孔をふさぐピンの折損・飛散によりガスタービンの動翼が破損し、過大な振動が発生、ガスタービン軸受の潤滑油配管継ぎ手部に損傷が生じて油が流出し、火災に至ったものとされる。当該第1軸の他、第2、3軸も消火作業および対策工事のため停止していたが、第2、3軸については同年10月14日以降、順次運転を再開した[7]。
出典
編集- ^ 株式会社JERA (2019年8月9日). “富津火力発電所1号系列および2号系列のガスタービン等の取替工事の完了について”. 株式会社JERA. 2019年9月14日閲覧。
- ^ JERA 富津火力発電所
- ^ 富津火力発電所3号系列の完成について 2003年11月13日
- ^ 富津火力発電所4号系列全軸の営業運転開始について 2010年10月5日
- ^ 「東西連係ガス導管」の運用開始について 2009年3月27日
- ^ 富津火力発電所4号系列第1軸における火災について 2015年8月17日
- ^ 富津火力発電所4号系列第1軸における火災の調査結果を踏まえた4号系列第2軸・第3軸の安全対策および運転再開について 2015年10月13日
- ^ 富津火力発電所4号系列第1軸の営業運転再開について 2017年9月25日