投資先紹介:創薬・医療機器ベンチャーと専門人材を繋ぐxCARE社について
ANRI榊原和洋です。先日、xCARE社より資金調達のリリースが発表され、ANRIからも出資をさせていただきました。プレスリリースの内容は以下よりご覧ください。
今回は投資先企業様であるxCARE社の紹介を簡単に書かせていただければと思います。
どのような会社か?
xCARE社(クロスケア社)は医薬品・医療機器業界の開発・事業化フェーズに特化した専門家プラットフォームを構築している会社です。「必要な時に」「必要なだけ」「高い専門性を持つ方」に開発のサポート頂きたいという事業会社のニーズを叶えてくれる会社です。立ち上げから2年で60社を超える国内外のメディカル企業をご支援。そして200名を超える登録エキスパートが所属するプラットフォームに成長しており、HPでもその一端を見ることができます。
抽象的に書くと何をしているのか少し分かりにくくなるかもしれませんので、どのようなペインを解決するのか具体的に書きたいと思います。
まずは企業側のペイン。創薬・医療機器開発を行うベンチャー企業はその開発ステージに合わせ、研究開発計画設計・薬事戦略設計を行う優れた専門家を必要としますが、以下のような問題を抱えています。(バイオベンチャーをご支援するにあたり私も苦戦しているところです)
一方、自身の知識経験を活かしたい専門人材としても以下のような問題があります。
そのような中で、
企業にとってのxCARE:
自社のニーズに合わせて適切な人材像を描き、プロジェクトマネジメントをしながら適切な人材を適切な期間送り込んでくれるパートナー
であり
専門人材にとってのxCARE:
魅力的で自分の能力を気持ちよく発揮できる企業を結び付けてくれるパートナー
なのです。医薬品・医療機器業界に関わる企業と個人の両方を幸せにすることができる人材ビジネス。それがxCAREの行っていることになります。究極、「医薬品・医療機器開発を行うのであればまずxCAREを頼ってみよう」という世界になればいいなと思っております。
人材の最適配置に伴うライフサイエンス領域のイノベーション加速への期待
少しxCARE社から離れて最近の株式市場を見てみると、バイオ銘柄の評価は厳しいもので「バイオ百均時代」と揶揄されるほどになっています。なかなかプロダクトが出ない状況で、市場の安定した評価を得ることの難しさを痛感しています。
医療機器領域においても最近はサスメドが保険適応希望の取り下げのニュースなどが大きな反響を呼んでおり、研究開発の設計のところで大きな議論が起こっています。
どんよりとしたムードが漂う中、それを打破するのに重要なことの一つが人材の適切配置によるイノベーションの加速だと考えています(金融の力なども勿論重要だと思いますが)。
当然スタートアップ企業は新しい領域にチャレンジしますから、高い専門性が必要となります。シーズ技術に詳しい方は創業者に含まれる例は多いですが、開発フェーズ(シーズを基に開発し、規制当局とやり取りし、上市するまで)に必要な専門家は立ち上げ後探していかなければなりません。そこで効率よく正しい人にたどり着く手段を業界全体が必要としていると私は感じています。
適切な専門家が適切なタイミングで参画することで描かれる適切なロードマップによって、数か月~年単位の時間の節約や億円単位の資金の削減ができうることを近くで見させていただいた経験があります。これが様々なところで起こせれば、確実にライフサイエンス領域のイノベーションの速度が変わるはずです。サイエンスリスクはどこまで行ってもあるからこそ、人材配置リスクを少しでも下げていく取り組みが様々な会社で起こってほしいと願っています。
製薬企業の早期退職と人材の流動化への期待
xCAREの事業を成立させるために必須であるのが、優れた専門人材プールになります。そこで、現在の製薬企業業界の人材流動性の高まりは大きく追い風になると考えております。
上記記事をみると業績が悪いわけではない大手企業も早期退職を促しております。営業職が顕著ですが、それ以外の職種の専門人材も様々な方が大手製薬企業から出てこられていることを当方も業務をしながら耳にするところです。また、副業・兼業について寛容になり様々な場所で活躍をされる中堅の製薬企業職員の方を耳にすることも増えるようになりました。この業界において人材が流動的に動くシグナルとしては十分なものがあると思います。
一方で、大手企業の社員からは不安の声も聞こえてきます。当然、充実した設備、社内制度、給与の傘の外でよくわからないスタートアップに関わることに対するハードルは高いものでしょう。
このような方々にとって、xCAREが安心とワクワク感両方を与えてくれるプレーヤーになることを期待しております。「xCAREと働けば、過剰に心配することなく魅力的なスタートアップと仕事ができる」このブランディングができてしまえば、人材流動化の波を大きく受けてxCAREは成長できるはずですし、業界全体が盛り上がるはずです。xCAREを活用して大きくしっかり稼いでいるフリーランサー・副業の専門家も次々に現れることを期待しています。
スタートアップにおける専門人材を活かす仕組みの必要性
専門家の知見は深いがカバーできる領域は狭い可能性がある。これは専門人材を活用するためにスタートアップサイドがよく考えなければならないところだと考えます。一方、専門人材サイドとしてもスタートアップにフルタイムジョインするならば、これだけをやっていれば良いということにはならないことをよく認識しなければならない点です。
その中で「両者それぞれ歩み寄るべし」としたりするだけではなく、専門人材がスタートアップの中で気持ちよく働く仕組みを整えることに目を向けるべきだと思うのです。そしてそれをxCAREが解決してくれると考えています。
xCAREが契約相手となり、自分の得意なところだけを担えるようにジョブをパスしてくれる。だから自分が不得手なことや、面倒な契約交渉をスタートアップと直接する必要がない。それは専門家にとって大きなメリットです。一方スタートアップからすれば、高給取りな専門人材を時間をかけて一人採用するより、より適性に合わせて専門人材3名を0.2FTEずつでワンストップにxCAREに依頼できれば経済合理性も高く、工数も少なくすみます。
xCAREが「スタートアップにおける専門人材を活かす仕組み」そのものになってくれると思いますので、是非名前を憶えてください。
VC-backedで事業拡大を目指すxCAREの想い
上述の通り、非常に魅力的なxCAREでしたが初めてお会いするまでは、VCマネーを入れて事業推進することに私は懐疑的でした。第二期でありながら、しっかりと顧客をつけ売上を上げていましたので、中小企業モデルでの経営も合理的な判断だと思ったからです。
しかし、CEO福永さんは一貫して自分たちがHRプラットフォームになり、スタートアップとして大きくなり、世の中のイノベーションを加速させるのだというスタンスを持ち続けてらっしゃいました。そしてキラキラした目で、「だってそんな未来の方がよくないですか?」と語ってくれるのです。さらに、目線は国内だけでなくグローバルに向いています。ライフサイエンス×HRのグローバルインフラになるという野望だけでなく、すでに長年グローバルビジネス経験のあるシニアメンバー(大手CRO会社の執行役員、製薬メーカーの欧米子会社取締役を歴任された棚瀬さん、シスメックスで欧州各国や中国で活躍された東さん)を加え、彼らのネットワークからxCAREのビジョンに共感する欧米の仲間と繋がっております。
また、xCAREの魅力として「人を本当に大事にしている」ことがあると感じています。彼らと関わっていると人こそイノベーションの源泉であり、うまく人と人が関われた時に何倍にも大きなものが生まれるということをチーム全体で信じていることがよくわかります。それが、反映されて彼らのサービスは丁寧です。ただ人を紹介するのではなく、専門家がハンズオンで事業会社と気持ちよく働くためにセットアップすることまで気を遣っている様子が伺えるのです。
これからxCAREが歩む道は簡単ではないと思います。経験豊かな方の個人の能力に頼る俗人性や丁寧な仕事を質を落とさずどれだけ仕組化できるか。同じ志をもってプロジェクトマネジメントをしてくれるスタッフをどれだけ引き入れられるかが肝になってくると感じております。以下の通り、積極採用中ですので、気になった方いらっしゃいましたら是非xCAREのドアをたたいてみてください。
サービス利用の検討に興味を持たれた企業の方は以下よりよろしくお願いいたします!
ここまでお読みいただいた皆様、ありがとうございます。xCARE(クロスケア)を引き続き覚えていただければ幸いです。