ジャック・マリタン
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生誕 |
1882年11月18日 フランス共和国、パリ |
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死没 |
1973年4月28日(90歳没) フランス、トゥールーズ |
出身校 | ソルボンヌ大学 |
配偶者 | ライサ・マリタン |
学派 | 新トマス主義 |
影響を受けた人物
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影響を与えた人物
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ジャック・マリタン(Jacques Maritain、1882年11月18日 - 1973年4月28日)はフランスの哲学者。新トマス主義者。
略歴
[編集]1882年パリに生まれる。アンリ4世校を経てソルボンヌ大学で自然科学を学び、当時は唯物論者であったが、後にアンリ・ベルクソンの形而上学の講義を聴講し、影響を受け、個人的にも親交を深めた。その後はその影響を抜け、1906年カトリックに入信した。妻のライサ・マリタンも哲学者でカトリック教徒[1] 。
1913年パリ・カトリック大学教授。1945年にはバチカン市国大使も勤めた。著書は、法律や教育や芸術など多分野にわたっている。法、政治、経済における自らの実践的な問題に関する立場を「政治的ヒューマニズム」と称し、近代の生んだ理性主義、不可知論、個人主義、無神論を批判した上で、共通善に基づく政治を追求しようとした。その思想は、雑誌:エスプリを創刊したエマニュエル・ムーニエをはじめ、多くのカトリックの知識人に影響を与えた。
キリスト教的哲学論争では、これを肯定する立場からエティエンヌ・ジルソンと共に、エミール・ブレイエらと対立した。
1961年、アカデミー・フランセーズ文学大賞受賞。
1973年4月28日、トゥルーズで死去。
著書(邦訳)
[編集]- 『三人の改革者 - ルター デカルト ルソー』(Trois réformateurs : Luther, Descartes, Rousseau, 1925)麻生宗由訳、彌生書房〈彌生選書16〉1971年
- 『宗教と文化』(Religion et culture, 1930)吉満義彦訳、甲鳥書林〈現代カトリック文藝叢書〉、1944年
- 『詩とは何か - その位置について』(Situation de la poésie, 1938)ライサとの共著、倉田清訳、南窓社、1970年
- 『人間教育論 - 岐路に立つ教育』(Education at the crossroad, 1943)溝上茂夫訳、創文社〈フォルミカ選書〉1954年、新版1974年
- 『全きヒューマニズム 新しいキリスト教社会の現世的・霊的諸問題』荒木慎一郎訳、知泉書館 2023年
- 『人間と国家』(Man and State, 1951、L'Homme et l'État, 1953)久保正幡・稲垣良典訳、創文社、1962年、1973年
- 『典礼と観想』(Liturgie et contemplation, 1959)ライサとの共著、須賀敦子訳、エンデルレ書店、1967年
- 『芸術家の責任』(The responsibility of the artist, 1960)浜田ひろ子訳、九州大学出版会、1984年
- 『フランス哲学者の見たアメリカ』(Reflections on America, 1958)小林珍雄訳、荒地出版社、1958年
- 『人間の教育 - ジャック・マリタンの教育哲学』(The education of man, The educational philosophy of J.M., ed. D./I. Gallagher, 1967)ドナルド・A・ギャラガー、アイデラ・J・ギャラガー編、稲垣良典監修、梅村敏郎訳、九州大学出版会、1983年
脚注
[編集]- ^ 妻ライサは、1883年、ロシアのロストフに生まれる。ソルボンヌ大学でマリタンと知り合った。1960年にパリで没した。『あるカトリック女性思想家の回想録 大いなる友情』(水波純子訳、講談社、1981年/講談社学術文庫、2000年)が訳されている。
参考文献
[編集]- 樺山紘一「マリタン」『現代思想-現代思想の109人』60頁(青土社、1978)
- 伝記
- 高橋たか子『ライサという名の妻』(女子パウロ会、2008)、夫妻での伝記
外部リンク
[編集]- 水波朗「ジャック・マリタンの国家観と主権否認論」『法政研究』第24巻第4号、1958年3月20日、九州大学法政学会、1-32頁。
- マリタン - コトバンク
- Jacques Maritain - Encyclopaedia Britannica(英語)
- Gilbert Giannoni, MARITAIN JACQUES - Encyclopædia Universalis(フランス語)