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スカルン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スカルン(skarn)とは石灰岩などの炭酸塩岩中にマグマ貫入してきた際、その接触部付近にできる鉱物の集合体(接触変成岩の一種)。カルシウムマグネシウムアルミニウムなどに富むケイ酸塩鉱物(スカルン鉱物)ができる。

マグマからケイ酸や鉄、アルミニウムなどが石灰岩の方に移動し、石灰岩中のカルシウム(苦灰岩の場合はマグネシウムも)と反応して鉱物ができる。物質によって移動距離が異なるので、鉱物種ごとに帯状構造を示すことがある。物質の移動には、熱水中の拡散と熱水自体の移動によるものの二種が存在し、熱水の影響が大きい場合は、変成はしばしば広範囲に及ぶ。

なお、マグマの熱により、石灰岩は結晶質石灰岩に変わっていることが多い。

語源

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スウェーデンの古い鉱山用語。鉱石と共に産出する奇妙な岩石の総称。Törnebohm (1875)は「スカルン」という用語を初めて使用した論文であり、この場合の「スカルン」は珪長質火成岩("eurite")によるもので、深成岩と石灰岩とは直接関係していない。

分類

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いくつかの基準によって分類される。

原岩を基にした分類

  • 内成スカルン(endoskarn)- (関係)火成岩を原岩とするスカルン
  • 外成スカルン(exoskarn)- 堆積岩を原岩とするスカルン

主成分と原岩を基にした分類

  • カルシックスカルン(calcic skarn)- 石灰石が関与したCaに富むスカルン
  • マグネシアンスカルン(magnesian skarn)- 苦灰石が関与したMgに富むスカルン

スカルン鉱物

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主なスカルン鉱物(skarn mineral)。

高温型スカルン

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花崗岩よりも固結温度の高い玄武岩質マグマなどの貫入で生成されたスカルンを高温型スカルンとよぶ。世界的にも産地がほとんどないため、珍しい鉱物が産出する。日本では、岡山県高梁市布賀地域や岩手県赤金鉱山の坑内で見つかった例などが有名。

関連項目

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参考文献

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  • Törnebohm, A.E. (1875) Geognostisk beskrifning ofver Persbergets Grufvefält. Sveriges Geologiska Undersökning: Stockholm, P.A. Norstedt and Sons, 21 p.
  • Meinert, L.D., Dipple, G.M. and Nicolescu S. (2005) World Skarn Deposits. Economic Geology 100th Anniversary Volume, 299-336 p.
  • 益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、ISBN 4-586-30013-2
  • 野瀬重人・沼野忠之 『岡山の岩石』 日本文教出版〈岡山文庫〉、2001年、ISBN 4-8212-5212-0