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タイセイヨウダラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タイセイヨウダラ
タイセイヨウダラ Gadus morhua
保全状況評価 [1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: タラ目 Gadiformes
: タラ科 Gadidae
亜科 : タラ亜科 Gadinae
: マダラ属 Gadus
: タイセイヨウダラ G. morhua
学名
Gadus morhua
Linnaeus, 1758
和名
タイセイヨウダラ

タイセイヨウマダラ

英名
Atlantic cod

タイセイヨウダラ(大西洋鱈、学名:Gadus morhua: Atlantic cod)は、タラ科に属する底生の食用魚である。なお本種にはタイセイヨウマダラの和名が提唱されている[2]

西大西洋のハッテラス岬から、ノースカロライナグランドバンク、そしてグリーンランドにかけて広く分布する。また東大西洋でもバルト海北海アイスランドバレンツ海を含む、ビスケー湾から北極海に掛けての海域で見られる。

成体で体長2メートル、体重96キログラムにまで達する。通常は2歳から4歳の間に性的成熟を迎える[3]が、北極海の北東に生息する個体では、成熟に8年かかることもあると報告されている。体色は茶色から緑色で、背側面から腹部にかけてはスポットがある。 側線は白いためはっきりと目に見え、この点で北太平洋に棲息するマダラとは区別できる。海岸線近くから大陸棚にかけて生息している。

分布

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北東大西洋

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タイセイヨウダラ
Gadus morhua

北東大西洋に生息するものが世界最大規模の個体群であり、その中で最も多くを占めるのが北東北極海の個体群である。この個体群は主にバレンツ海に生息し、3月から4月の間にロフォーテン諸島等のノルウェーの海岸沿いで産卵をする。生まれた子は海流に乗りプランクトンを食べながら北へと移動し、産卵期以外の一生を過ごすバレンツ海に夏までに到達する。成長するとともにオキアミや甲殻類、また、カラフトシシャモタイセイヨウニシン等の小魚を食すようになる。また、この個体群は共食いをすることでも知られている。 

北海の個体群はEUの国々やノルウェーによって漁獲され、1999年にはデンマーク(31%), スコットランド(25%), スコットランドを除いたイギリス (12%), オランダ (10%), ベルギー, ドイツ ,ノルウェー (17%)で水揚げされている。1970年代には漁獲量が20-30万トンにまで達するなど、乱獲が懸念されている。

北西大西洋

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北西大西洋の個体群は1990年代初頭、生息地全域でのカナダアメリカによる深刻な乱獲により漁獲量が激減した。

北アメリカ大陸のタラの漁獲の歴史は16世紀まで遡ることができ、ニューファンドランド島などカナダ東海岸の植民地の入植と発展の基盤となった。1960年代までは年間で平均30万トンほどが水揚げされていたが、技術の進歩により、ピーク時で水揚げ量年間80万トンにまで達した。しかしその後急激に減少を始め、2007年には、沿岸に生息する本種の数は、1977年の1%にまで減っている[4]

生活史

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産卵

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成魚は冬から春にかけて産卵のための群れを形成する[5][6]

雌は、卵をいくつかの固まりに分けて産み[7]、雄は競って精子を卵にかけ受精させる[8][9][10]

受精卵は海流に流されながら幼魚へと発達する。

成魚

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成熟の時期は個体群によって変わる。西大西洋に生息するもので、2歳から4歳で成熟するが[11]、北極海の個体群では8歳まで成熟しないこともある 。

寿命は13年以上[12]

人間との関係

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1. 肝臓, 2. , 3. 卵巣,
4. 十二指腸, 5. , 6.

鮮魚や、フライとして、また、干物(バカラオ)、肝臓の塩漬けや、卵巣の薫製などとして、ヨーロッパや北アメリカの広い地域で食用となるが、寄生虫の宿主となることも多い。

タイセイヨウダラの肝臓に
寄生するアニサキス

関連項目

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脚注

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  1. ^ Sobel, J. (1996). “Gadus morhua”. IUCN Red List of Threatened Species 1996: e.T8784A12931575. doi:10.2305/IUCN.UK.1996.RLTS.T8784A12931575.en. https://www.iucnredlist.org/species/8784/12931575 2023年9月25日閲覧。. 
  2. ^ (日本語,英語)『グリーンランド海域の水族 : 深海丸により採集された魚類・頭足類・甲殻類』海洋水産資源開発センター、1995年。 NCID BN1298015X 
  3. ^ O’Brien, L., J. Burnett, and R. K. Mayo. (1993) Maturation of Nineteen Species of Finfish off the Northeast Coast of the United States, 1985-1990. NOAA Tech. Report. NMFS 113, 66 p.
  4. ^ “N.L. funds cod fishery research on 15th anniversary of moratorium”. CBC News. (2007年7月2日). http://www.cbc.ca/canada/newfoundland-labrador/story/2007/07/02/cod-moratorium.html?ref=rss 
  5. ^ K. M. Brander (1994), “The location and timing of cod spawning around the British Isles”, ICES Journal of Marine Science 51 (1): 71–89, doi:10.1006/jmsc.1994.1007, http://icesjms.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/51/1/71 
  6. ^ Kai Wieland, Astrid Jarre-Teichmann & Katarzyna Horbowa (2000), “Changes in the timing of spawning of Baltic cod: possible causes and implications for recruitment”, ICES Journal of Marine Science 57 (2): 452–464, doi:10.1006/jmsc.1999.0522, http://icesjms.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/57/2/452 
  7. ^ Beth E. Scott, Gudrun Marteinsdottir, Gavin A. Begg, Peter J. Wright and Olav Sigurd Kjesbu (2005) Effects of population size/age structure, condition and temporal dynamics of spawning on reproductive output in Atlantic cod, Ecological Modelling Volume 191, Issues 3-4, 5 February 2006, Pages 383-415
  8. ^ J. A. Hutchings, T. D. Bishop, C. R. McGregor-Shaw (1999), “Spawning behaviour of Atlantic cod, Gadus morhua: evidence of mate competition and mate choice in a broadcast spawner”, Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences 56 (1): 97–104, doi:10.1139/cjfas-56-1-97, http://article.pubs.nrc-cnrc.gc.ca/ppv/RPViewDoc?issn=1205-7533&volume=56&issue=1&startPage=97 
  9. ^ J. T. Nordeide; Folstad (2000), “Is cod lekking or a promiscuous group spawner?”, Fish and Fisheries 1 (1): 90–93, doi:10.1046/j.1467-2979.2000.00005.x 
  10. ^ D. Bekkevold, M. M. Hansen & V. Loeschcke (2002), “Male reproductive competition in spawning aggregations of cod”, Molecular Ecology (journal) 11 (1): 91–102, doi:10.1046/j.0962-1083.2001.01424.x, PMID 11903907 
  11. ^ O'Brien, L., J. Burnett, and R. K. Mayo. (1993) Maturation of Nineteen Species of Finfish off the Northeast Coast of the United States, 1985-1990. NOAA Tech. Report. NMFS 113, 66 p.
  12. ^ ICES (2007), Arctic Fisheries Working Group Report, Section 03, International Council for the Exploration of the Sea Archived 2011年6月12日, at the Wayback Machine. (accessed 2008/12/11)

外部リンク

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