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ヤマユリ

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ヤマユリ
ヤマユリ(大阪府2007年7月
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: ユリ属 Lilium
: ヤマユリ L. auratum
学名
Lilium auratum Lindl. (1862)[1]
和名
ヤマユリ (山百合)
英名
gold-banded lily

ヤマユリ(山百合[2]学名: Lilium auratum)とはユリ科ユリ属の多年生植物。山地に生える日本特産のユリで、夏に咲く花は大型で白く、山中でもよく目立ち、強い芳香を放つ。鱗茎は食用のユリ根になり、別名リョウリユリともよばれている。

名称

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和名ヤマユリは、山中に生えることからつけられた[3][4]学名は「黄金色のユリ」の意。中国植物名(漢名)は、金百合(きんひゃくごう)、日本漢名では山百合(さんひゃくごう)とよばれる[5]。鱗茎は食用になり、リョウリユリ(料理百合)ともいわれる[5]

日本では地方によって様々な別の呼び名があり、ヨシノユリ(吉野百合、芳野百合)[5][2]、エイザンユリ(叡山百合)[5][2]、ホウライジユリ(蓬莱寺百合、鳳来寺百合)[3][2]、リョウリユリ[2]などともよばれていて、各産地に因んで名付けられている[3]

花言葉は、「荘厳」である[4]

分布・生育地

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日本特産のユリ[6]北陸地方を除く本州近畿地方以北の山地に分布し、山地山野の林縁や草地に自生する[6][7]北海道九州には栽培していたものが野生化したものが見られ[2]、観賞用に多く栽培もされる[6][4][7]。日当たりのよい原野、丘陵などに生えていて、夏の里山の植林地などの木漏れ日が当たるところでは、ひときわ目立つ白い花を咲かせているヤマユリが見かけられる[2]

特徴

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地上のは直立し、草丈は1 - 1.5メートル (m) [6][8]。地下の鱗茎扁球形で、黄色をおびた白色、10 cm程の大きさである[6]。鱗茎の上と下には根が生えている[9]は深緑色をした広披針形で先は尖り、短い葉柄がついて互生する[6]

花期は夏(7 - 8月)で[8]、茎の先に1 - 数個、ときに20個ほどの白いを横向きに咲かせる[6][4]。花は6つある花被片が、外に弧を描きながら広がって、花径は15 - 18センチメートル (cm) になり[4]ユリ科の中でも最大級であり、その重みで茎全体が弓なりに傾くほどである[6]。花被片の内側中心には黄色の太い筋があり、紅褐色の小さな斑点が散らばる[6]。ヤマユリの変わりものには様々な呼び名がつけられていて、花被片の中央に太い赤色があるものを「紅筋」、斑点が少ない純白の花を「白黄」、花被片の斑点が黄色のものを「白星」という。褐色の花粉が出て、花の香りは日本自生の花の中では例外的ともいえるほど、甘く濃厚でとても強い[6]。発芽から開花までには少なくとも5年以上かかる。よく「1輪1年」といわれ、株の年数が経って古いほど多くの花をつけ、大きな鱗茎になっている[2]。風貌が豪華で華麗であることから、「ユリの王様」と呼ばれる。

花後にできる果実蒴果で、長さ6 cmほどの円筒形で3室に分かれている[7]。中には種子が約300個ほど入っていて、熟すと果実が3裂して、風に揺らされて散布される[7]。種子の大きさは、長さ約1 cmの扁平な半円形で、周囲に翼がついており、中心部に楕円形で長さ約5ミリメートル (mm) の種子本体がある[7]。種子は翌年の春に発芽せず、その年の夏を越して秋になってから発芽する[7]

栽培

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排水が良く湿度を適度に保つ膨軟地を好む性質があり、半日陰で根元が乾燥しない高畦に植栽される[6]繁殖は、鱗茎を分けて植えるか、実生によって行われる[6]

ヤマユリを基に改良した園芸品種は、オリエンタル・ハイブリッドとよばれている[4]

利用

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秋から春にかけて地下の鱗茎を掘り採って、食用や薬用に利用する[2]

食用

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鱗茎は、オニユリ等と同様にユリ根として食用となる。根を取り除いて鱗茎をよく水洗いして、1片ずつ剥がしてから酒を加えて茹でて下ごしらえする[2]きんとん煮物、生のまま天ぷらにするほか、中火で甘煮にして砂糖をまぶしたものはデザートになる[9]。天ぷらにするとホクホクした食感になる[9]

鱗茎には良質なデンプン[9]多糖類の一種であるグルコマンナン(コンニャクにも多く含まれる)を多量に含み、縄文時代には既に食用にされていた。生のユリ根を煮て調理するとき、よく煮ると糊状となり、美味で去痰の効果もある[6]

薬用

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鱗茎は生薬になり、中国のユリの鱗茎である百合(びゃくごう)の名を、日本産ヤマユリに充てている[6]。調整法は、秋に種子が成熟した後に、鱗茎を掘り採って水洗いした後、鱗茎の裂片をほぐして天日乾燥させる[6][9]、もしくは湯通しして天日乾燥する[5]鎮咳強壮、口腔内や胃粘膜の保護に役立つとされ、民間療法では、温まるときに出る咳や、微熱があり動悸があるときの不眠に、乾燥したユリ根1日量5 - 10グラムを400 ccで煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている[5][6]。ただし、寒気や冷えが出ている咳への使用は禁忌とされている[5]。またおでき打ち身、腫れ物などには、乾燥した百合を粉末にして、で練って患部に湿布する民間療法が知られる[5][9]

その他

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  • 1873年ウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され、その美しさからヨーロッパで注目を浴びる[10]。それ以来、ユリの球根は大正時代まで主要な輸出品のひとつであった。西洋では栽培品種の母株として重用された。

脚注

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Lilium auratum Lindl. ヤマユリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 114.
  3. ^ a b c 大嶋敏昭監修 2002, p. 425.
  4. ^ a b c d e f 主婦と生活社編 2007, p. 121.
  5. ^ a b c d e f g h 貝津好孝 1995, p. 115.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 馬場篤 1996, p. 112.
  7. ^ a b c d e f 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 222.
  8. ^ a b 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0  p. 431
  9. ^ a b c d e f 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 115.
  10. ^ 遠山茂樹『歴史の中の植物』八坂書房、2019年9月10日、254頁。ISBN 978-4-89694-265-1 

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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