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漂白 (写真現像)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

漂白(ひょうはく)は、写真映画現像工程において、フィルム印画紙などの感光材料を現像した後に、行う作業である。白黒写真リバーサル現像[1]カラー写真ネガ現像[2]とリバーサル現像[3]に必須であり、白黒ネガ現像では必要としない工程である[4]コダックの定義によれば、漂白は、画像を形成する金属銀ハロゲン化銀に戻す変換をする作業である[3]

概要

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感光したフィルムあるいは印画紙や乾板に対して、最初に行う作業を現像英語: developing)といい、定着させ乾燥するまでの全工程を総称して現像英語: processing)というが、ここでは前者を現像、後者を現像プロセスとする。漂白に用いる液剤を漂白液といい、漂白液にフィルムを浸す作業を漂白とも漂白浴(ひょうはくよく)ともいう。

現像を行ない、フィルムの表面には金属銀でできた黒いネガ画像があるが、これを漂白、つまりハロゲン化銀に戻すことで、ネガはポジに反転する。このハロゲン化銀はのちに定着液のなかで除去される[3]。わずかに溶解した銀塩は、現像直後の水洗促進浴(停止浴)あるいは漂白後の定着浴を通じて、連続的に排水されることで乳剤層から除去できる。白黒写真のリバーサルフィルムの現像プロセスにおいて、漂白浴は通常、二クロム酸カドミウムをはじめ、二クロム酸塩の重金属と硫酸のなかで行われる。これは毒性があり、皮膚に有害であり、慎重な取り扱いが必要である。カラーフィルムのポジ現像(E-6現像)では、第一現像のあとに発色現像を行い、色を結合してカラー画像を発生させ、その後に漂白浴を行い、さらに定着浴を行ないハロゲン化銀を洗浄する。

漂白を行なっている間、3価の鉄イオンは2価に還元されるが、通気を行なえば3価に戻すことができ、漂白は順調になる[3]。この通気が不十分であったり、漂白にかける時間が少なかったり、漂白液の水温が低かったり、漂白液の希釈が薄すぎたりすると、銀が残留するばかりか、カラーフィルムでは発色が狂うことになる[3]

この漂白の作業を意図的にスキップする(スキップ・ブリーチ)と、カラーフィルムに銀が残った状態を生み出すことができるが、それを銀残しと呼ぶ。

写真愛好家の手現像用に、C-41現像E-6現像の現像プロセス薬品一式をキットとして発売している場合、漂白定着液として、漂白と定着の工程をいっしょに行うことがある[5][6]

コダックの処方

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コダックは白黒リバーサルフィルム用の漂白液ブリーチR-10の処方を公開している[7]。カルゴンS等、日本国内での業務用以外の購入は困難である。

物質 分量 備考
750 ml
カルゴンS(ヘキサメタリン酸ナトリウム 20.0 g
過マンガン酸カリウム 2.5 g
硫酸 (96%) 15.0 g 必ずかきまぜながらゆっくりと硫酸を注ぎ、絶対に逆に硫酸に上記液体を注がないこと。深刻な化学火傷を起こすことになる。
水を足してすべてで 1リットル 水温は25°Cに保つ。

おもな漂白液

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  • コダック B&W リバーサルブリーチ R-10 - 漂白液、白黒リバーサルフィルム用[1]
  • コダック フレクシカラー RA ブリーチリプレニシャー NR - 漂白補充液、カラーネガフィルム用[2]
  • コダック ブリーチフィクサー RA - 漂白定着液、RA-4現像英語版
  • エヌ・エヌ・シー BF-A / BF-B - 漂白定着剤、カラーネガフィルム用、C-41現像用の「ナニワカラーNキット」等にセットされている[5]
  • テテナール 漂白定着液 - 漂白定着液、E-6現像用の「テテナール E6 3浴処理1Lキット」等にセットされている[6]

脚注

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  1. ^ a b TECHNICAL DATA / BLACK-AND-WHITE REVERSAL FILM, コダック、2011年12月5日閲覧。
  2. ^ a b C-41 MINILAB PROCESSORS, コダック、2011年12月5日閲覧。
  3. ^ a b c d e PROCESSING SOLUTIONS AND THEIR EFFECTS, コダック、2011年12月5日閲覧。
  4. ^ よいこのための暗室の本、2011年12月5日閲覧。
  5. ^ a b 商品紹介、エヌ・エヌ・シー、2011年12月5日閲覧。
  6. ^ a b 「E6 3浴処理1Lキット 使用説明書」、近代インターナショナル、2011年12月5日閲覧。
  7. ^ Processing KODAK Motion Picture Films, Module 15 / Processing Black-and-White Film, コダック、p25., 2011年12月5日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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