“インディペンデント”であること。それは単に「メジャーレーベルに所属していない」状態を指す言葉ではない。
テクノロジーやプラットフォームの発展により、誰もが──たった一人、誰にも頼らずとも──世界中に作品を届けられるようになった今。そこは、自分のやりたいことをひたすらに、自らの意思で選び取る“主体性”があちらこちらに渦巻く世界だ。
KAI-YOUではTuneCore Japanの企画「MEDIA NETWORK」と連動して、これからのシーンを担う才能をフィーチャーする連載企画を展開中。
MEDIA NETWORK
「楽曲をリリースしたあと、どうやってプロモーションすればいいのか?」
そんなインディペンデントアーティストの課題を解決すべく、誰でも手軽に、自身の楽曲をメディアに“売り込み”できる場を用意した取り組みだ。
第7回目となる今回スポットライトを当てるのは、地下アイドルシーンから出発し、現在はダンス、オルタナティブミュージックを基盤に多様なジャンルを融合させたサウンドを響かせる二人組ユニット・おやすみホログラム。
そして、クラブシーンやダンスコミュニティを横断しながら、流麗でヘヴィなエレクトロニックミュージックを展開するKommuneの2組だ。
一見すると異なる出自を持つ両者だが、共にダンスミュージックの文脈を持ちながらあらゆるジャンルを飲み込んだ独自の音楽性を確立しており、東京のライブハウスシーンでたしかな評価を集めている。
現場で自らの音楽を追求し続ける彼らが語る、音楽的ルーツやメジャーシーンへの視点、そしてインディペンデントなライブハウスシーンで活動を続ける意義に迫る。
あらゆるジャンルを飲み込む音楽たちのルーツ
──まずは自己紹介をお願いします。アーティストとしてのコンセプトや志向している音楽性/ジャンルなどについてうかがえれば幸いです。
オガワ おやすみホログラムはカナミル(ボーカル、作詞作曲)とオガワコウイチ(ボーカル、ギター、作詞作曲)のユニットです。アートディレクションやレコーディングまで基本的に二人で行なっています。
元々は2014年に地下アイドルシーンから出発し、当初は僕がプロデューサー、カナミルがパフォーマーという関係でした。現在はメンバーの脱退などがあり、二人組のユニットとして活動をしています。
志向している音楽ジャンルは特には決まっていないのですが、おやすみホログラムの歌詞は一つの箱庭のような世界を描いているものが多いので、その世界観に沿ったサウンドが多いと思います。
僕自身の音楽制作のきっかけは、高校生の時にヒップホップにハマって自分でリズムマシンやMTRを買ってやってみた事ですね。特に言いたいことが思い浮かばなかったのでラップは早々にやめてしまい、歌モノやインストをつくってました。
おやすみホログラム
カナミル デビュー当時からアイドルシーンと、新宿などのアンダーグラウンドな音楽シーンの両方で活動をしてきたので、ずっと面白い立ち位置に居させてもらっている気がしますね。
サウンド面でいうと、オルタナやダンスミュージック、あとオガワさんはヒップホップの影響が大きいのもあって、ループミュージックが多いかなって気がします。あと、割とずっとギターが鳴ってますね。
以前は基本的にオガワさんがつくった曲を歌うスタイルでしたが、最近はわたしも作曲に参加しています。オガワさんが絶対に使わないワードを使って歌詞を書くのは楽しいです。
Kommune Kommuneは東京を拠点に活動するmeyumo(ボーカル)とKonfig(ビートメイカー)のユニットです。
流麗でヘヴィなサウンドにこだわっていて、様々な音楽ジャンルを解体・再構築し、エレクトロニックやオルタナティブ、R&Bといったジャンルとして解釈されることが多いです。
Kommune
──特に影響を受けたアーティストや楽曲について教えてください。
オガワ 10代の頃に影響を受けたのはThe Rootsの「Dynamite!」やSonic Youthの「Wildflower soul」。他にもエモやポストパンク、メロコアなど──特にそれらのキャッチーなメロディーの持つ求心力みたいなものにすごく影響を受けていると思います。
ティーンミュージックってすごく耳障りが良いメロディーのものが多いと思うんですけど、その内側に仄暗い部分やマイナスの感情が感じられると「今でもいいなあ」と思ってしまいます。
今でも当時と同じ熱量で新作に心躍ってしまうのは、BOARDS OF CANADAな気がします。特に「Chromakey Dreamcoat」を聴くと、自分の中のチャンネルが切り替わる感じがするんです。
オガワ 彼らやSonic Youthからは、内面的な表現の部分で大きな影響を受けていますね。ただ耳障りが良いだけでなく、後から自分が聴き直した時に何かを感じられるかどうか。それは今の制作における一つの目安にもなっていて、彼らの音楽がそれに気づかせてくれたような気がします。
カナミル わたしは2歳から高校3年生までクラシックピアノをやっていて、中学生になるまでは自分の部屋のCD棚にはクラシック音楽しか並んでいませんでした。
ピアノをやっていたから、相対音感が身についたというのは大きいと思います。高校生からインターネットで色んな音楽に触れて、今の音楽シーンに出会って人生が変わりました。
Kommune KonfigはUK Bass MusicやMemphis Rapのビート、環境音楽に深く影響を受けています。タイトでありながらサウンドスケープの広がりを感じる音楽を志向していて、アーティストでいうとCOUCOU CHLOE、Kumo99、GHOSTEMANE、Miho Hatoriなどが好きです。
meyumoはPOPやR&Bなどの音楽から影響を受けています。最近よく聴いているのはSamm Henshaw、Wretch 32の「Doubt」です。
Kommune ゴスペルとR&B、HipHopが調和したサウンドと、悲観的でありながらどこか温かみのあるリリックのバランスが、聴く人の全てを包み込んでくれるような優しさを湛えています。
──あなたはどこを「主戦場」として活動していますか? またはどのような環境で制作を行っていますか?
オガワ 最近は新宿MARZと下北沢SPREADで自分たちのイベントを行っています。おやすみホログラムはギターとラップトップとマイクがあればどこでもライブができるので、場所を選ばないのはメリットだと考えています。
SNSは二人ともちょっと苦手であまりできていないので、リアルな現場以外にも活動の場を拡げていきたいですね。なので現在の主戦場は「現場」になると思います。配信音源とは全然違った聴こえ方をすると思うので、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。
Kommune 下北沢SPREAD、吉祥寺NEPO、中野Heavysick ZEROなどでライブをしています。KonfigがビートメイカーやDJとしても活動していることから、バンドからビートミュージック、DJまで幅広いシーンのコミュニティに深く関わっています。
またmeyumoはダンサーとしての顔も持ち、ダンスコミュニティのイベントに出演することもあります。主戦場というより、やりたい表現ができる場所、共感していただける方々のいる場所で活動することがKommuneのスタイルとして根付いています。
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